高橋和司 戦略 Blog

アクセスカウンタ

zoom RSS アメリカはいざというときに日米安保を発動しない?!

<<   作成日時 : 2010/12/08 14:52   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0





平和・安全保障研究所理事長の西原正先生(さいばら、ではない)によると、やはり豊かになった韓国(ここで嫌韓の人や百瀬格先生はブーイングしないこと)には自国の領土が軍事的に侵されても、全面戦争でなければ報復はできないという論を発している。せいぜいが数日前に行われていた黄海の軍事演習に空母を入れるという示威行為をするに過ぎないということである。

これでは朴正熙元大統領が土まんじゅうの中で泣いているであろう。朴大統領の経済発展路線は成功を収め、今ではMBTやMICV、それに今回の砲撃戦で有名になったK−9自走砲をほぼ自力で開発できるようになったから、(一切の軍事外想定を考えずに)韓国の側から朝鮮戦争の休戦を破って統一を図るように試みれば、案外鴨緑江や豆満江に達することすら不可能ではないかもしれない(ただし北の核兵器が実際に使える状態にないとしてであるが)。しかし現実には経済発展の遺産は、豊かな生活と引き替えに「もう戦争はいやだ」という国民を増やしてしまったという結果に終わったのが真実である。大体米韓相互防衛条約は守備同盟であって、攻守同盟ではないので、李明博大統領が決断を下して北進を始めたとしても、その場合は合衆国の支援を得られないわけである(もちろん条約とは別に支援を得られる可能性もあり得るが)。

これを日本に当てはめると、いつまでたっても北方領土がソ聯→ロシアの実効支配下にあるということである。この伝でいえば、いくら合衆国のヒラリー・クリントン国務長官が「尖閣諸島の防衛は日米安保条約に含まれる」という意味の文言を発しても、現実にはそれを貫徹するのは合衆国の世論というものもあって、今回の米韓合同演習程度のことに終わる可能性が浮上したわけである。

私は日米間の核抑止論(いわゆる「核の傘」)について、「やぶれ傘」と形容している。これは、「アメリカの核を自国民の命と引き替えに外国のために使うわけはない」という不信感に対する反論である。前者に論理が認められるなら、「合衆国は自らのコミットメントを自ら破るとその時点で合衆国に対する各国の信頼感が失われ、全世界が群雄割拠の戦国時代に突入する」という反論もできるわけである。ただしどちらの理論も実証されたわけではなく(実証されたら困るがな)、それゆえに100%の肯定も100%の否定もできないからこそ「やぶれ傘」なのである。とはいえ当事国がこのような体たらくではやぶれ傘どころか骨しかない傘を差してもらっているようなものだ。

やはりEU諸国・日本・韓国のような豊かな国では命の値段がうなぎ登りに上昇して、まさに一人の犠牲者を出しただけでも戦地から撤退しかねないということであろうか。それならやはり豊かな国の代表である合衆国はなぜアフガニスタンやイラクで千人単位の戦死者を出しても国自体は平然としていられるのか。合衆国は西側先進国の中では例外的にマッチョ信仰が強い国で、さらに移民に対して軍に入って何年か過ごせば合衆国籍を得られる(さらに大学進学の奨学金ももらえるかもしれない)というアメがある(最もこれには反論があり、アフガニスタン・イラクに派兵されている全将兵の人種分類・貧富分類では特に移民や黒人、貧しい人間の割合が有意に多いわけではないどころか、豊かな白人の方が戦地に派遣される可能性が高いという調査報告も出ている)ので、徴兵制度を廃止しても数百万の将兵を維持できるわけである。

やはり領土の防衛は当事国が主体的に考えるもので、同盟国のファクターはあくまで補助的存在とするのが理にかなっている。もちろん、その枠組みとして国際政治学・戦略学・地政学を学問の先進国である合衆国に学びに行くのは仕方がないが、それぞれ国情が違うので、最後は自分で考えなければならないという原則を打ち立てることが必要ではないか。


日米同盟再考―知っておきたい100の論点
亜紀書房
西原 正

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 日米同盟再考―知っておきたい100の論点 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

他人ブログのリンク

アメリカはいざというときに日米安保を発動しない?! 高橋和司 戦略 Blog/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる